2016年2月27日に開催された「英語教員の英語力・指導力強化のための調査研究事業」シンポジウムにおいて、文部科学省は、英語教員を志す学生が教職課程で習得すべき内容をまとめた「コアカリキュラム」試案を公表しました。 注目すべきは、中学や高校の英語科教員の養成課程で英検準一級程度の英語力を習得する目標や、2020年に完全施行となる小学校の英語教科化を見据えた小学校教員養成での授業設計と指導技術の習得目標です。
コアカリキュラム公表、その目論見とは?
本来、教員養成のカリキュラムは大学ごとで独自であるため、文部科学省がその指針となる「コアカリキュラム」を作成したことは、日本の英語教育大変革の一端でしょう。 英語を教えるスキル、質の一体化によって目指すべき指導力を明確化させることが結果的に子どもの英語力向上へつながるという目論見です。
2018年以降必須ではないようですが、全国の教員免許を取得できる学部に導入を促す、とのことです。
2020年からの小学校英語教科化に伴い、小学校教員志望の学生たちには「英語指導力」を新たに身につける必要があります。 現在ほとんどの小学校教員志望者が英語の指導法を学んでいませんので、コアカリキュラムを通じて必要とされる知識、実践的な指導方法を均一的に習得できるようになります。
先生の自信が生徒の自信につながる!
コアカリキュラムでは中高の教員養成で英検準1級レベルの英語力を習得することを目標としていますが、現職の英語教員で「英検準1級以上の保持者」の割合はどれくらいなのでしょうか?
中学9583校と高校3459校を対象に文科省が実施した「平成26年度英語教育実施状況調査」によると、英検準1級以上、TOEIC 730点以上等を取得している教員は高等学校教員が55.4%(同省目標75%)、中学校教員は28.8%(同省目標50%)となっています。 文科省の「第2期教育振興基本計画」で定められた目標指数を大きく下回っています。 コアカリキュラムで示された目標はこの現状に対する警笛なのかもしれません。
英検準1級は、3級までと同じの筆記・リスニング・面接に加えてライティングの4技能の総合力を測定します。 内容もより実践的なものとなり、日本英語検定協会が示している目安は「大学中級程度」で、2014年度の合格率は15.1%と、非常に高いレベルの総合的な英語力が求められます。
これから英検準1級取得を目指す英語教員にとってはとても大変で不安に感じるものかもしれませんが、これにより先生がさらに自身の英語力に自信をもっていただけることで授業もより良いものに変わり、生徒の英語学習に良い効果をもたらされることを期待したいですね!