連合総合生活開発研究所(連合総研)が発表した「教職員の働き方・労働時間の実態に関する調査」によると、教職員の労働時間の平均値が労働者全体の平均値を圧倒的に上回り、また、2013年に経済協力開発機構(OECD)が世界34の国と地域の中学校教員を対象に行った調査でも、日本が世界最長となっています。 その実情とは・・・
労働者全体の平均を上回る労働時間
2015年12月に全国の公立小・中・高校および特別支援学校教員5,000人を対象に実施した「教職員の働き方・労働時間の実態に関する調査」から、小・中学校教職員の労働時間は、労働者全体の平均と比較して4時間程長い、約13時間だと分かりました。 また調査結果では、定時を正確に知らない教員も多いことから、残業は「当たり前」の状態になっていることがわかります。
学校によっては「土曜授業」により労働時間が多くなり、また、自宅に仕事を持ち帰っている先生も多く、睡眠時間が労働者平均より1時間短いようです。「土曜授業」に関しては、横浜教育委員会のアンケート結果によると、70.5%の教員が「反対」しているそうです。 やはり教員にとってはかなりの負担になっているようですね。
世界一働く日本人教師は世界一自信がない
2013年に国際調査「国際教員指導環境調査」(TALIS)が行った、日本全国から抽出した国公私立中学校192校の教員3484人と校長からのヒアリング調査の結果によると、1週間の勤務時間は加盟国平均の38.3時間に対し、日本は53.9時間で最長となりました。 中でも日本人教員の仕事の特徴は、事務作業や部活動など「授業以外の仕事」が合計して8時間以上も平均を上回っており、肝心の授業に費やす時間は世界平均より1週間あたり2時間少ないという結果となっています。
また、これほど学校、生徒のために働いている日本人教員が、「生徒に勉強ができると自信を持たせる」ことができていると答えた割合が17.6%で、これは他の国の平均値85.8%を大きく離れて、世界で最も低い値です。
この結果には、いくつかの複雑な要因がからんでいるとは思いますが、何より、教員が時間に追われることなく、余裕を持って働ける労働環境が必要かもしれませんね。労働環境や業務内容はすぐに大きく変えることはなかなか難しいと思いますが、ICTを活用することで簡素化、効率化できます。 人・時間・お金の無駄を省くことで、先生もストレスなく仕事に向き合うことができ、教師としての自信につながるのではないでしょうか。